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黒沢田楽

ガイドブック「遠江のひよんどりとおくない」によると、毎年2月第一日曜に、愛知県新城市七郷一色の黒沢の阿弥陀堂で「黒沢田楽」が行われる、ということで、2019年2月3日に行ってみた。

 

愛知県ではあるが、静岡県との境で、「ひよんどり」が行われる「寺野」の北にあたり、静岡県の「ひよんどりとおくない」と同じ文化圏にあるようだ。

 

黒沢は、かなりの山奥にあり、途中から山道は一車線で対向車がくるとやっかいだなと思ったが、行き返りとも対向車とは行きかうこともなくすんだ。

家を7時半ごろ出て、9時前には黒沢に到着。

山の斜面に3軒の家があったが、ひっそりと祭りの準備をしている雰囲気がない。

 

とりあえず、「阿弥陀堂」を探すと、新城市指定文化財 萩野家住宅」の説明板があり、その奥に、立派な茅葺屋根の民家があった。

 
 

この家の人が「黒沢田楽」の中心になっている、ということだが、雨戸が閉まっていて、これは祭りはないな、と思う。

 

車に戻って、インスタントコーヒーを飲んで一息いれて、もう一度、萩野家へ行ってみると、ちょうどおばあさまが雨戸をあけているので、声をかけて聞いてみると、舞手の三人は病気などで、田楽は昨年から休止になっているとのこと。

 

阿弥陀堂はその家の裏手の山の中腹にあり、歩いて5分も登れば行けるということを教えてもらい、見に行った。

 

途中、2か所に丸い注連縄がかけられていた。

阿弥陀堂は杉の巨木の中にある。

堂の裏山に、小さな社が2つとお地蔵様が祀られていた。

お地蔵様は、小さな磐座の中に納められていて「世の中地蔵」、社の一つは、氏神様の「萩野大明神」と表札がでていた。

堂の近くを散策していると、萩野家のおじいさまが供え物を持って阿弥陀堂にやってきて堂の鍵を開けたので、私も中を拝見した。

このあたりの堂はどこも格子で区切られた内陣があり、外陣で田楽などの行事が行われるようだ。

 

10時から集落の人が集まってお参りをする、とのことだったが、お邪魔してももうしわけないので、9時半ごろ、私は帰路についた。

 

お二人によれば、皆年を取り、病気でもあり、黒沢田楽は「休止」から復活するのは難しい、とのことで、ここでもまた伝統芸能が消えていくんだなあ、と残念であった。

 

これまで数軒しかない村で、こうした田楽を続けてきたことは大変なご苦労であったと思う。